ビデオカメラに



僕たちは高校の仲間で富士の樹海に肝試しに逝こうかという事になり、5人でバイクに乗り12時ごろに樹海に到着しました。
かなり寒くて凍えそうでしたが、緊張していたと言うのもあって何とか耐えられそうな感じでした。
友人の相原が、じゃー逝って見ようか?と言い出し、デジタルビデオカメラを持って僕らは暗闇の森の中に進んでいきました
僕の原チャリから300Mぐらい奥に入ったときに、
ガサ、ガサと誰かがこちらに向かってくるような足音のようなものが聞こえ、「僕が何か聞こえない?」と言うと
雄一が、「つーか、かなり前からさ、俺たちの後ろから足音してんだけど・・・気のせいだと思ってたけどおまえにも聞こえる?」
と言い出し、少し様子を見ることにしました。
相原が、「動物来てんじゃねーの?」と言い出しましたが
足音のするほうを見ても、誰も居ないし、動物なんて絶対ありえない。しかもなんだかくさい。水槽でザリガニが死んで、腐ったような匂いが風に乗って時々におう

そう思っていると、後ろ数メートルぐらいの距離でイキナリ”バチ”と雑音が響き、
男の声らしき”ウォォォォ”、”グロゥゥゥゥ”と言うような声が。

なんだ???と思いそっちのほうを見てみるとなんか人らしき者が・・・
なんか、人が居るよ・・・とびびって居るとスゥーと消えた


出た!と思うのも束の間、雄一が真っ先に逃げ出し、相原もそれに続きダッシュ
後輩の遠藤、次に僕、後に送れて後輩の飯田もそれに続いてダッシュ
逃げているときに思わず親父のデジカメを落としてしまった。
そんなことはもうどうでもいい、只管逃げる
少し開けたところで皆止まり

相原:「一体今のなんだよ?」
遠藤:「お化けじゃないんですか?」
雄一:「マジで?俺見て無かったよ。なんだか声が聞こえて相原が走るから」
飯田:「やばいっすよ。帰りましょうよ。」
僕:「カメラ落とした・・・だれか、カメラ探すの手伝ってくれない?」
雄一:「どこらへんで落とした?」
僕:「逃げようとして直ぐだったから、あの変なのが出た付近だったと思う」
相原:「てか、やべーだろ?俺はあそこいきたくねぇ」
皆:「・・・」

と言うような会話が5分ぐらい続き、結局皆も仕方無しに、カメラを探しに戻ることにしました
さっきの、霊らしきものが見えるところまで来ると急に皆の足が遅くなり始めた

僕は『カメラ無くすと親父にすげー怒られるし・・』と思い。何とかカメラだけはと言う感情から一人だけ先に行くことに




皆から50Mほど先に進んだところでカメラを発見、落ちた衝撃で壊れてないか心配しましたが
赤いレコーディングランプも付いたままで問題なさそうでした
少し、安心したけど、”ガサ”と音がし、僕は少し足早に皆のところに戻った
「やっぱ、あそこなんか変だよ。まだ、足音するし」
「でも、バイクに戻るにはその付近を通るしかないよな?」
怖すぎる
少し、迂回をしていけないか?と言う話になり、迂回することに
足早に、原チャリの地点まで進んでいると、臭い、凄い臭い
直感的にここすげーヤバイかもしれないと感じていると横に視線を感じてそっちのほうを見たとき僕は思わず
”うぁ”っと声を上げてしまいました
何か、大き目の物体が木にぶら下がってる
”うぉぉ!!”と相原も気づいたらしく木にロープらしきもの1本でぶら下がってる物体を見ていました。

相原:「あれ、死体だろ?」
雄一:「ヤベーかなりヤベー」
遠藤:「両足が・・・無い・・」
僕:「さっきのヤツってもしかして、この死体のなんかなんじゃ?」
飯田:「・・・・・・・」


なんだかんだ会話をしていると

”オ・・・・コ・・〜ス〜”と言う声が途切れ途切れに人の声と分かるぐらいにハッキリと聞こえてきました

ヤベーヤベー!と誰かが叫び、また、ダッシュで逃げました。
何とか、無事にバイクの場所にまでたどり着き

相原:「今のはかなりヤバイだろ?」
遠藤:「俺ももう帰りたいっすよ」

そのとき飯田が何か見たのかいきなり”ウァ〜ウァ〜”と言い出し、しゃがみ込んでしまいました
相原が飯田を「どうした?おい、どうした?だいじょうぶか?」
と、なだめているとそのまま気絶してしまいました。しかも口から泡吹いている状態

このままにして置けないので、飯田を只管皆で介抱する事にし、10分ぐらいかけて何とか意識を取り戻した
僕はバイクのメット入れの中にしまってあった、ジュースを飯田に飲ませた
皆もただ事じゃないと感じているようで、直ぐに撤収することにしました。
ですが、なんだか飯田の挙動が以前に比べ変な感じになってる


その後の帰道の出来事で飯田が死ぬことになるとは


皆普通にバイクに乗り、問題も無い感じで進みトンネルに差し掛かった時に

「バガン!・・・ドチャ」

かなりでかい音が、なんだ?トンネル見てもなにもぶつかった形跡も無いし???
皆がトンネルの出口に向かって走っていくのが見え、その尋常じゃないのを見て事故と直ぐに理解しました
飯田のバイクが、トンネル入り口の壁に激突して大破している
かなり、状況は酷く、飯田の顔がグチャグチャに潰れてしまい顔だと認識できない程に
飯田はそれでも、まだ、生きているようで手足をバタバタさせながらもがいている・・もう見てられない


その時、上から何かがドスンと落ちてくる音が
なんだ?と見てみると、何もない
直ぐに、近くの公衆電話まで走り警察に連絡したが、警察と、救急車を待っている間に飯田は動かなくなってしまった
その後、警察で色々と事情を聞かれ親に迎えに来てもらい帰宅した
警察にはさすがに、親に肝試しで樹海にいって死体を発見したなんてばれると凄いことになるので、ツーリングと言うことにした。
こんな事になってしまい。皆気が重かった
次の日親父から呼ばれて説教かと思っていると、そこには昨日撮影したデジカメがあり
親父はそれを見たらしく何か変なものが映ってるといった
僕も見たくは無かったが、見てビックリした
カメラを落とした時に、僕らの逃げるところが撮影されていて、その後、数秒間経って誰か分からないが、カメラを持つ者が居たらしく
カメラがフワフワと上に移動している
なんだ??あの時は確か皆逃げるのに必死だったし、カメラを落としたのも知ってるのは僕だけだと思う
しかも、逃げてるのに戻ってカメラ持つ人間なんて絶対居ないはず・・・?
と思っているとかなりかすれた声で”オマエタチコ〜ロ〜ス”と聞こえ、手をはなされたかのようにカメラが落下していく
そして地面に埋まったのかライトが消えたのか分からないが、画面が真っ暗になったと思うと、ぱっとどこか見知らぬ風景を撮影している
シーンに、うぁ、これは、飯田が事故死したあのトンネルだ
次にノイズが酷くなり池を写しているシーン、ビルのような建物、踏切り、道路、森、火事のようなシーン、
最後にどこかの会社の受付みたいなのを写しているシーンが幾つか流れ暗闇に戻った。
それらのシーンには必ず足の無い黒い影が入っている
その後から、僕の部屋でバチ、バツというラップ音や金縛りに悩まされることになった
ビデオを見た日は夜中目がさめるとバチバチバチバチバチバチと言うような電気がスパークしたような音がして
真っ赤な光が部屋中に見える事もあった


飯田のお葬式の時にビデオの内容が変だということを伝え皆で見ることになった
相原、遠藤、が来たが雄一が何時まで待っても来ない、家に電話しても出かけたと言われる
多分こっち向かってるんだろうと言うことになり、そのままビデオを見た
かなり、皆ショックを受けたようで、相原はバイクに乗らず押しながら帰った
それ以来雄一は学校にも来なくなったし捜索願も出された
沼で雄一の死体が見つかったのは5日後ぐらい先だった
どうも、ビデオを見るために僕の家にやってきてそのまま5日間行方不明になったと言うことになる
警察の人も色々調べたらしいが、なんでこの時期に池に入ったのか分からなかったようだった上着を脱ぎ捨てそのまま池に入っていたらしい
警察側では受験のストレスにより精神的におかしくなり自殺したと言うことで処理された
その後は学校も卒業し、皆バラバラになったが相原がビルから飛び降り自殺したと知ったのは今年の8月だった。
あのビデオにあった、ビルと全く外観が同じビルで飛び降りた
そして今この文章を書いている僕
残ったのは、遠藤と僕になる
いまだにラップ現象は収まらず、このまま行くと殺されるのかと思うと怖くてどうしようもなくなる
親父はなんだか、この頃変になってしまい。会社も辞めて酒ばかりを飲んで独り言が多くなっている
自殺ういう言葉も言うようになった



「これからの僕は一体どうすればいいんだ・・・・」




なんだか映画「リング」に似てますね。というより似せたのでしょうかね。

日本の怖い話はミステリーというより、お化けが出ていればという考えが多いですからね。こういう話は日本ではよくよく見るものといえますか。

私はホラー映画は大体見たことがありますが、やはり国によって雰囲気や傾向が違っていて、こういったところにも国の特徴がでているなと、なんというか微妙な気分でした。