ストーカー



ある一人暮しの女性がストーカーの被害に悩まされていた。

ゴミが荒らされた形跡があったり、彼女の家の前にずっと立っている男が近所の人に目撃されたり・・・

なによりも彼女を悩ませていたのは、毎日必ずかかってくる無言電話の存在だ。

ある日、我慢の限界に達した彼女は、

いつも通りかかってきた無言電話の相手に向かって「いい加減にしてよ、この変態!警察に連絡しますよ!」と怒鳴りつけた。

するとしばらくの沈黙ののち、電話は「殺す」という低いつぶやきの声とともに乱暴に切られたのだ。

怖くなった彼女は、すぐに警察に連絡をした。

彼女の話を聞いた刑事は彼女の家にやって来ると電話に逆探知の仕掛けをし、

「もしなにかあったら、すぐに駆けつけますから」と言い残して帰っていった。


さて、その日の夜。

やはり彼女のもとには電話がかかってきた。

ただし今夜の電話は無言ではない。

電話口で男が無気味な声で笑っている。

彼女は怖くてすぐに切ってしまいたかったが、警察に逆探知をしてもらうために我慢をした。

男の笑い声はやむことなく続いている。

どれくらいの時間がたっただろうか、突如彼女の携帯に電話がかかってきた。

昼間の刑事からだ。

「いいですか、今すぐその家から外へ逃げ出しなさい」

刑事は緊張した声でそう告げた。

しかし、外ではこの恐ろしい男が自分を待ち構えてるのでは?

そう思うと彼女は行動に移せない。

その様子を感じたのか刑事は続けざまにこう言った。


「逆探知の結果が出ました。犯人は電話をあなたの家の中からかけているんです。犯人はあなたの家の中にいるんです。」


驚いた彼女はすぐに男からの電話を切って駆け出した。

そして部屋の中には、電話が切れてもいまだ響きつづける男の笑い声が・・・



この物語のルーツも、やはりアメリカにあります。

アメリカではこの都市伝説は「ベビーシッターと2階の男」として知られており、異常者からの電話に怯えるベビーシッターの物語でした。

日本版では犯人の設定がストーカーとなり、主人公から日本では余りなじみのないベビーシッターという設定が消えたことで、

現代日本にあうように衣替えされているようです。