深夜、太田光と古本新之助がバーで雑談しており、太田が切り出す。
太田 「『不幸の伝説』って知ってるか?」
古本 「何それ?」
太田 「……ある『伝説』を聞いた人は、それと同じ内容を12時間内に 10人に話さないと、その人の身に不幸が起こるというらしい。
いわゆる『不幸の手紙』みたいなもんなんだ。
俺の友達の友達が、これを達成できずに実際に不幸な目にあったんだよ。
彼の名は仮に「田中君」としよう。彼ははっきりものを言えないタイプで、人がよく、だまされやすい。
ある夜、ある人に"ちょっと話を聞いてくれ"と 頼まれて、断れない田中君は、その『伝説』を聞いてしまったんだ。
それから彼は困った。12時間以内に10人に話さないと、自分に不幸が降る。今は午前0時。よりによってこんな時間に探さないといけないなんて…。
帰宅した田中君は、必死になって友達に電話をかけた。だが、すでにその噂を知っている者もいて断られつづけた。
仕方なく、田中君は外へ飛び出した。すでに深夜、だが時間がない。ある暴走族風の男にも声をかけた。
すると、「不幸の伝説だと!?俺の弟はナァ、そいつのおかげで事故って
大変な目に遭ったんじゃ!俺まで不幸にする気か!!」とボコボコに蹴散らされた。
あせった田中君は、道端の酔っぱらいや浮浪者にも『伝説』を語った。
… 気がつくと、公園のベンチで横になっていた。朝になっていた。
寝てしまったのだ!時計を見るとあと一時間しかない。
9人まで話したというのに…。あと一人…。
昨夜の傷だらけ顔のまま、泥だらけの服装のまま、ある駅前で、 ふっとランドセルを背負った小学生の女の子を見つけた。
田中君は「やったぁ」とばかりに喜んで一直線に駆け寄っていく。
しかし、白昼彼の姿は、はたから見れば変質者そのもの。 田中君には周りは見えていない。女の子へ近づいていく。
異変に気づいた周りの通行人数人が、寸での所で男(田中君)を 取り押さえた。
すぐさま警官がピストルまで構え、取り押さえようとした。 辺りは人垣ができていた。…
女の子は保護された。
ピストルを構えた警官が、駅前に座り込んでいる田中君に近寄った。
するといきなり田中君はそのピストルを奪い、警官に向けた。 辺りは騒然となった。
すると、そのまま田中君は泣きながら、 「お願いです!僕の話を聞いてください…」と、『それ』を語り出したのだ。
別の警官が駆け付けた。
人垣の中の話し声は聞こえないが、 男(田中君)がピストルを持っている。
ただごとではないと察したこの警官は遠くから田中君にねらいを定めた。
田中君は話を終えるか終えないかというそのとき、
… バーン!!! …
時計の針の方が早かった。 それがタイムリミットがすぎた瞬間である。
田中君は不幸にも、銃弾に倒れた……。」
太田 「ほんと、あわれで気の毒な話だよなぁ…。」
古本 「へ〜っ、でさぁ、そんな不幸を招く伝説ってどんなのなんだろ!?気になるなぁ…。
でも10人に話せなかったら不幸になるかも…ちょっと待てよ、ウーン…、まようなぁ!
…いや待て。やっぱやめとくわ。ははは…。」
太田 「ふっふっふ。もう遅いよ。実は今話したのが、その『不幸の伝説』なんだよ!!」
古本 「え、エエー!?うそだろ?」
太田 「俺はお前に話して9人目。それからさっきから後ろで、俺達の話をずーっと聞いていたおじさん(タモリ)!!アンタが10人目だよ!!
ふぅー、俺はこれで助かったっと。」
古本 「おいおい、うそだろ〜??」
…エンドロールでは、そのバーでタモリの連れが遅れてやってきて、 さっそくタモリは『不幸の伝説』を話し出すのだった…
「こんな話があるんだよ…」
「世にも奇妙な物語」で放送された「不幸の手紙」です。爆笑問題、太田光。DJの古本新之助を迎えてのキャストで送ったこの話。
VTRでは、当然田中君は、爆笑問題の田中だったのだろうと思いますが、なんだか悲惨ですね、この演出は。
近頃は、特別編としてよく「世にも奇妙な物語」が放映されていますが、大元は都市伝説とつながっていたりするものが多いようですね。